掲載媒体:海の京都 Times  |  2023年3月10日

京丹後に唯一無二の食材
「フルーツガーリック」

新しい旅と暮らしを発見する海の京都のライフスタイルメディア

掲載メディアについて

海の京都 Times」は、京都府が推進する広域観光圏整備事業の一環として設立された地域振興機関「海の京都DMO」が運営する公式メディアです。京都府北部(丹後・中丹・南丹地域)の観光・文化・食・ライフスタイルを発信することを目的とし、京都府と連携した公的機関が情報を精査・掲載しています。本記事は、同メディアが現地取材のうえ掲載したオフィシャルな取材記事です。

元の記事を読む(海の京都 Times 公式サイト) ↗

「体が必要とするものを、脳はおいしいと感じる」——この仮説から、国内外の一流シェフに選ばれる食材が生み出された。京都府北部の京丹後市で作られる「フルーツガーリック」。独自技術により、何も加えずにニンニクをじっくりと熟成・発酵させたもので、口にするとプルーンのような甘酸っぱさに加え、うまみが広がる。和洋中の料理や菓子のほか、健康づくりにも用いられる、唯一無二の存在だ。

「農商工連携」で黒にんにく

フルーツガーリックを作るのは、同市大宮町森本の㈱創造工房。地域に新たな産業を生み出そうと2008年、市内の農家との「農商工連携」により、地元で栽培されるニンニクを使った製造事業に参入したのが始まりだった。

黒にんにくは、ニンニクを高温多湿の環境に長時間置いて黒く熟成させたもので、ニンニク特有の香りはマイルドになり、甘みが出る。紀元前から栽培され、食材や薬用として世界で長い歴史を持つニンニクだが、黒にんにくが生まれたのは日本。栄養価の高さが注目され、2000年代から主に健康食品として国内で広がり始めた。

体が必要とするものを、脳はおいしいと感じる

創造工房が黒にんにくの製造を始めた頃、黒にんにくには健康効果を期待して食べられるものだったが、社長の早川雅映さんは「健康」だけでなく「おいしさ」も意識した。おいしさと健康への効能を併せ持つスーパーフードを目指し、「同じ食べ物はずなのに、食べる時の体調によって感じるおいしさが違う」という着眼点から仮説を立てた。

その理論として、"体が必要とする要素を増やすほど、食べ物はより美味しく健康にもなる"と考えた。この仮説に基づいて試行錯誤した結果、従来の黒にんにくとは異なるフルーツガーリックが誕生した。

世界1位のレストランが採用

フルーツガーリックは従来の健康食品というイメージを超え、食材としての価値を認められた。製造開始数年後には、デンマーク・コペンハーゲンのレストラン「noma」など、国内外の一流飲食店で使用されるようになった。nomaはイギリス専門誌主催の「世界のベストレストラン50」で複数回1位を獲得しているレストランだ。

健康食品としても

従来、黒にんにくは男性の購入者が中心だったが、フルーツガーリックは味わいと香りの特性から女性ユーザーも増やした。購入者からは「夏バテが減った」「基礎体温が上昇した」「風邪の罹患が減った」といった声が報告されており、健康効果の期待が高まっている。

企業秘密の独自技術

フルーツガーリックの製造方法は企業秘密とされているが、「フルーツガーリック・テクノロジー©」という独自技術を用いた熟成・発酵プロセスにより、新しいうまみ成分概念「UMAMI-X」が付加されている。早川さんは、従来のグルタミン酸などの既知成分だけでなく、未知の領域が人間のうまみ感覚に関与していると考察し、それをUMAMI-Xと命名した。最終的に〈UMAMI+UMAMI-X=UMAMIX〉という味覚構造を理論化した。

世界のシェフが認めるUMAMI-X

スペイン・サン・セバスチャンで開催される「サン・セバスチャン・ガストロノミカ」という一流シェフが集う食の学会で、創造工房は2017年に3度目の単独出展を実現。そこでUMAMIXの概念を発表した。実験では、フルーツガーリックの皮をワインやオリーブオイルに加えた際の味わいの変化を調査したところ、試飲者の90%以上が明確な変化を認識し、トップレベルのシェフから驚きの声が上がった。

テクノロジーを応用

フルーツガーリック・テクノロジー©はニンニク以外にも応用可能で、複数の商品開発に活用されている。その一例が日本酒「純米吟醸 伊勢光」。伊勢神宮ゆかりの米品種「イセヒカリ」を使用し、地元の酒蔵と提携して商品化された。杜氏の従来の醸造技術にフルーツガーリック・テクノロジー©を組み合わせることで、より良い発酵状態での醸造が実現した。

奇跡的に育ったイセヒカリ

イセヒカリは1989年に伊勢神宮の神田で発見された米品種。京丹後市と伊勢神宮の間には深い関連があり、伊勢外宮の祭神「豊受大神」は同市の磯砂山に降り立った天女だとされている。この背景から早川さんはイセヒカリに注目し、伊勢光の開発を開始した。伊勢光には特別なイセヒカリが使用されており、それは早川さんが10年保管していた穂から奇跡的に発芽し育った10株を親とする「令和イセヒカリ」。早川さんはこの株が高い生命力を持つと評価している。

「百薬の長」の酒に

伊勢光を醸造するのは竹野酒造㈲。市内産の令和コシヒカリを60%まで精米し、純米吟醸酒に仕上げられた。早川さんは「フルーツガーリック・テクノロジー©を応用することで、薬効をも持つ酒を目指した」とコメントしている。

〝熟成〟させた、まろやかな塩

日常の調味料として展開される「熟成塩」は、フルーツガーリック・テクノロジー©により天然塩をUMAMI-X熟成させたもの。塩辛さが軽減され、奥行きのある味わいになっている。ベースはモンゴル産の湖塩で、熟成が進むにつれて角が取れ、口当たりが良くなるとのこと。早川さんは「日々の調理を向上させられ、味噌や梅干しの製造に用いれば質の向上が期待できる」と述べている。

今も進化、色々なことに挑戦へ

早川社長は「フルーツガーリック・テクノロジー©は継続的に発展し続けている」と述べ、「今後もさまざまな領域への応用に挑戦していく」と決意を示している。